あなたは良心市を知っていますか?
高知のあちこち道を通っていると、道端に農作物が置かれた簡易な小屋を見かけます。
果物や野菜が道端に並んでいる。
これ買って良いのかな?周りには誰もいません。
どうしたら良いんだろう。
高知に来て最初に驚いたのは、この良心市の存在でした。
良心市とは
良心市は道端に設置された無人の販売所のことで、高知のあちこちにあります。
本当に全くの無人です。見ている人はいません。
農産物の横に値段は書いてあります。
初めてこの良心市の小屋を見たとき、どうやって買い物をするのだろう?と一瞬迷いました。
ふと良心市の中を見ると、空き缶のようなものが置いてありました。
もしかして、この空き缶の中にお金を入れるのか?
並んでいたトマトを一袋選んで、代金をチャリンと入れてみました。
うわぁ、すごいぞ、と心のなかで叫んでしまいました。
良心市の「良心」とは道徳心でした。
信頼関係をもとに、ちゃんとお金を入れる。勝手に盗らない。
代金を払って持ち帰るか、支払わずに持ち帰ることもできる。それは買う側の良心次第。
このような性善説による物の売買が成り立っている。
それも採れたて農産物が買えます。
良心市によって、日によって、季節によって、並んでいるものは違うけれど、
野菜だって果物だって、花もしきびや榊(さかき)まで売っている。
近年は、盗難があるため監視カメラが付いた良心市もあるけれど、
無人のそのままの良心市はまだまだたくさん残っている。
誰が名付けたのか知らないけれど、良心市という呼び名は日本人の中に残っている道徳心や正義心を呼び起こすネーミング。
今も良心市を通るときは、思わず何が並んでいるのか見てしまう。
時々本当に美味しい物と出会うことがある。
通りがかった良心市で買ったしいたけを、家に持ち帰って焼き椎茸にしてみました。
香りが良くて、味が濃くて、今まで食べた中で1番美味しいしいたけでした。
鼻に抜けるような椎茸の香りを初めて味わいました。
もう一回食べたいけれど、良心市は本当に偶然の出会い。
同じものが買えません。
良心市の買い方は
良心市は道端にある小屋なので、屋根があるけれどやはり日が当たります。
買い時は朝です。
また、良いものは昼までになくなります。
人気があるものは並んだ頃に売れてしまいます。
人通りがすくないところの良心市は、夕方でも残っている場合があります。
しかし、鮮度を考えると昼までくらいに買うのが1番。
車であちこち走っていても、良心市は見かけます。
街中にも山手の方にも良心市はあります。
何か並んでいたら足を止めて、車を止めて見てみましょう。
そういう時に、思いがけなく美味しい農産物に出会ったりします。
市場に出さなかったものが地元に回ります。
その一つのルートが良心市です。
鮮度は抜群です。
高知に来た頃は、この完全無人の直売所である良心市に驚きました。
しかし今では、この良心市がいつまでも残っていてほしいと思っています。