一点制限主義の食事療法を試した
食事療法といっても実質は食事制限です。
何らかの制限をされるので、苦痛やストレスを伴います。
診察室でいきなり食事指導をされるので、「ハイ」と返事しておきながら心のなかで「えー?!」と叫んでいる自分がいます。
しかし食事療法をやりました。
とりあえず検査結果は正常域に入りました。
最初、食事療法は自分にはできないと思っていました。
それがなぜできたのか。
それは一点制限主義の食事制限にしたからです。
あれこれバランス良い食事を作る、献立を考えることは素人にはいきなり無理でした。
そして食欲の欲望と戦うことも、根性がありませんでした。
そこで一点だけ制限する、残りは制限しない、という方法を取りました。
一点制限主義とは、ある項目だけを制限することです。
糖質制限は糖質量だけを制限します(ゼロではなく減量する)。
脂質制限は脂質量だけを制限します。
そして自分にとって食事療法を成功しやすい方法を考えました。
それは、
① 自分に対して「強い」危機感を持たせた。
② 食事療法の期限を「わざと」区切った。
③ 食事療法をゴールや結果を出すゲームや実験のように扱った。
という方法でした。
①と②はあえて自ら設定して行いました。
③については、食事療法を実行していくうちに勝手にそういう状態になりました。
誰も教えてくれないから、自分で方法を考える
診察室で検査結果を見せられて、食事療法の指導を受けます。
しかし、病院を出たら患者自分一人です。
日常的栄養指導もなく、食事制限のストレス支援相談もなく、一人で食事療法という制限の中に置かれるのです。
本やサイトには食事療法の見本などが載っています。
こんな食事を自分で考えて、ずっとこんなご飯を食べ続けるのか?
そっと閉じて無理かも・・・。
しかし何かをやらなければ、そのうちいつか薬物療法になるかもしれない。
この手の薬の副作用はきつそうだな。嫌だな。
なんとかしなければならない。
自分の嗜好や耐性度を一番知っているのは本人です。
つまり、自分がどんなものが好きでどんなものが嫌いで、我慢とか根性が足りないことも、自分が一番知っています。
そういう自分ができそうなことを考えるしかありませんでした。
食事療法の見本を見て、入院食のようだ、無理だ、これを完璧にやろうとしたら挫折する。自分を顧みて確信しました。
そのかわり食事療法の見本のようなことはできないけれど、自分でできそうなことはなにかやろう。
そう思い直すことにしました。
自分で食事療法の道筋を勝手に考える
食事療法の見本を早期に投げ捨てた自分は、自分のような人間がどうやったら何かしらの食事制限を実行できるようになるかを考えました。
食事療法の見本を最初から投げたことは専門家からは叱られるかもしれません。
しかし、一人でいきなり食事療法なんてできるわけない~。開き直りです。
そこで自分の性格や嗜好を振り返って考えたことは、動機づけ、期限付き、実行可能な方法、です。
つまり、
① 自分に対して「強い」危機感を持たせた。
② 食事療法の期限を「わざと」区切った。
③ 食事療法をゴールや結果を出すゲームや実験のように扱った。
第1段階 動機づけをする~自分に対して「強い」危機感を持たせた。
まず根性がない人間ので、強い恐怖感や危機感を自分に与えることにしました。
ストレスをかなり抱えていたので、食事制限はかなり高いハードルです。
特に、甘党な自分はある意味では砂糖中毒です。
甘いものを食べられないくらいなら生きている意味がないと考えるくらいです。
適当に食事制限を始めると、最初におそらく砂糖中毒が出ます。
そこで強い危機感を作り、強い動機づけをすることにしました。
動脈硬化が進んだ血管写真を検索しました。
グロです。見たくないです。
薬の副作用情報を調べました。
やっぱりこの手の薬は飲みたくないです。
リスクの高い疾患も調べました。
世話の必要な家族がいるのでまだ倒れたくないです。
薬を飲みたくない、コレステロールが溜まった血管が怖い。
なんとか第1段階はできたようです。
第2段階 期限付き~食事療法の期限を「わざと」区切った
つぎに食事療法(実質は食事制限)の期限を区切りました。
食事療法生活を一生やれ、と言われたらとてもできないと思いました。
主治医からは、お菓子をやめろ、菓子パンなどのパン類をやめろ、糖質を減らせなど、と最初の指導が入りました。
え~、もう二度と食べられないの?絶望感が半端ありません。
唯一のストレス解消法を取り上げられた気分です。ストレスはそのままなのに。
3日やめるのも不可能そうなのに、もうずっとやめるのか?
そんな根性は自分にはない。
そこで自分勝手に、「3ヶ月」だけやめよう、と考えました。
じぶんにとってはこの3ヶ月というのも、すごい決心です。
なぜ3ヶ月だったかというと、3ヶ月位制限しないと何かが変わらない気がしたからです。
自分の食生活や、自分の体重、検査の結果など、1ヶ月やそこらではおそらく変化はないでしょうと。
本当は2ヶ月位にしたかったけれど、そこは頑張って3ヶ月。
4ヶ月だと自分には長すぎて無理。
3ヶ月だとカウンドダウンしながら頑張れるかも。
3ヶ月後はどうするつもりかは、最初は考えませんでした。
そのときになってから考える。
制限が辛すぎれば、3ヶ月後に食べたらいいや、くらいの気持ちでした。
この期限付きの食事制限は結果的には良かったです。
途中で辛くなってきたときに、あと〇〇日したらもう食べるんだ、好きにするんだ~、だから今だけ我慢する、その代わり〇〇日後には思いっきり食べるんだ~、と結局3ヶ月間頑張ることができました。
第3段階 実行方法を考える~食事療法をゴールや結果を出すゲームや実験のように扱った
食事療法の見本のようなことはできないので、一点制限主義をすることにしました。
最初は糖質制限からはじめました。
主治医からは、お菓子をやめろ、菓子パンなどのパン類をやめろ、糖質を減らせ、トランス脂肪酸を避けろ、という指導がありました。
少し体重が増えていたことも気になっていたので、糖質制限をする、つまり糖質という一点だけを気にする食生活をすることにしたのです。
他の項目は制限なしにしました。
目標は糖質制限を実行して5kg痩せることでした。
それさえ成功すれば後は何でも構わない。
きっと5kg痩せたたら何かが変わる(←根拠はありません。)はず・・・。
そして、そこからは糖質の少ない食品を見つけ出すゲーム、糖質の少ない食事で満足するものを作り出す実験、を始めたのです。
スーパーに行くと沢山の食材や食品が並んでいます。
その中から糖質の少ないものを探し出す宝探しをします。
糖質の少ないものを見つけ出せたら、それは買っても良い、食べても良いものとして扱います。
お菓子類だって糖質が少なければOKです。
なにせ、糖質制限の一点主義だからです。
医者からはお菓子NGと言われていましたが、糖質制限するだけでも地獄の辛さなので制限一点主義でマイルールにしてしまいました。
次に、糖質の少ない食事を作る実験です。
糖質を少なくすると、スパゲッティとか焼き飯とかが食べられません。
糖質制限をしたことがある人は分かると思いますが、糖質制限はある意味「おかず食い」になります。
炭水化物の量を減らすことが糖質制限の近道なので、主食(炭水化物)があまり食べられないのです。
主食の量を減らすとお腹が空きやすくなります。
おかずをいっぱい食べても次の食事時間までにお腹が空いてきます。
そのため、腹持ちが良いおかずを食べなければなりません。
空腹感が辛いときは、なにか低糖質な間食を作るか、探さなければなりません。
低糖質な食事をいかに作るか、どうやって低糖質な間食をするか、低糖質な主食をいかに作るか(しらたき入りご飯を別途掲載しています)。
最後には低糖質なパンまで焼いてみました。
医師からはパンをやめろと言われていたのに、パンまで焼いちゃいました。糖質制限の一点主義だけを実行していたので、材料にトランス脂肪酸が少なければいいだろうと。
低糖質なパンは作るのが難しいです。膨らみにくいし、工夫しても美味しくありません。
糖質量を減らしたしらたき入りご飯を炊くほうが楽です。味はあまり変わりませんから食べやすいです。
おかず食いになるので肉類の量も減りません。
食事療法の見本よりもずっと多い量になりました。
初めての食事療法なのだから、それでも構わないと考えていました。
最初の3ヶ月は糖質制限一点主義でした。
これを実行しているだけでも苦痛で、実行できているだけでも自分を褒めたいくらいでした。
試行錯誤しているうちに、低糖質な食事を作る実験をしている気分になってきました。
買い物で低糖質なものを見つける宝探し(見つけたら食べられる)の気分になってきました。
ゲームのゴールは、3ヶ月。できれば5kg痩せること。
追加の段階 脂質制限ゲームを始める
糖質制限ゲームを3ヶ月実行したら、結局9kg痩せました。
最初の1ヶ月はほとんど体重が変わりませんでしたが、2ヶ月目からは順調に減っていきました。
途中で体重減りゲーム化していきました。
が、残念なことにLDLコレステロール値だけは減りませんでした。
中性脂肪はピカピカに減りましたけれど。
そりゃそうです。主食を減らした分だけ、おかず食いをしていたので。
そこで食事療法を始めてから3ヶ月後、食事制限ゲームの延長をすることにしました。
今度は脂質制限ゲームです。
やり方は糖質制限ゲームと同じです。
世の中の売り場から、脂質の少ない食材や食品を見つけ出す。
脂質の少ない食事を作る実験をする。
そのかわり糖質は制限しません。脂質制限一点主義だからです。
脂質制限は主食を制限しないので、お腹いっぱい食べられます。
お弁当だって買えるし、おにぎりだって食べられます。
糖質を制限しないことは「血糖値スパイク」(糖質制限の本でよく出てくる言葉です)を引き起こすので、食事後眠気も出ます。
せめて食物繊維から食べ始めるルールだけ守り、糖質は取ります。
脂質制限一点主義です。
糖質制限を解除したので体重のリバンウンドがあるかなと思ったのですが、体重は増えませんでした。
糖質制限で肉付きがごっそり減ったけれど、脂質制限にしてからすこし肉付きが戻りました。
糖質制限を解除したので、甘いものも脂質が少なければ食べました。
脂質制限を書いた本にも和菓子なとは少し食べても良いと書いてありましたが、脂質が少なければなんでもOKにしていました。
医師からはお菓子をやめろと言われていましたから、食事制限の見本から外れているのは承知の上でした。
一点制限主義を自分がやり遂げるためには、それ以外を解除するしかありませんでした。
そしてこの一点制限主義を半年続けて(糖質制限3ヶ月、脂質制限3ヶ月)、血液検査ですべて正常域に入りました。
人によって違うと思いますが、自分には食事制限を効果がありました。
そしてこの一点制限主義は自分に合っていました。
制限する項目以外はすべて解除していたので、続けられたのだと思います。
食事療法の見本通りに実行していたら、自分はきっと数日で挫折していたと思います。
食事療法の見本は糖質もある程度まで減らして、脂質もある程度まで減らして、食事量も全体的に抑えて・・・といった食事バランスを考えたメニューです。
自分にとって逃げ道がないのです。
この見本の量以外は何を食べたら良いのか?
キュウリでもずっとかじるのか?無理だと思いました。
キュウリをかじる生活はやってみましたが数日で飽きました。
一点制限主義は自分にとっては逃げ道を作る方法でした。